大学生のシズカツさん~静岡就職活動研究サークル~


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株式会社ソマウッド

代表取締役 久米歩氏

  • UP : 2017/04/06
  • 静岡県清水区布沢247

木こり界・異端児ソマウッド

国土の7割が森林という日本において、5万人しかいないと言われる「木こり」。若くして清水の地で起業された久米歩さんによると、第一次産業の仕事は予測不能な天候・死亡者率が最も高い危険な作業ゆえにやはり過酷なものでした。にもかかわらず、久米さんはなぜ木こりに?静岡木こり界の異端児・久米さんの仕事観に、あなたの就活の常識も覆されるかもしれません!

静岡・清水の山の守り人は富山県出身

森は木々を間引きすることで光が入り木がより良く育ち、それによりその足元にある動植物の命も多様性が保たれています。しかし、約2500万haに及ぶという日本の森を守る木こりは5万人、平均年齢は65歳と高齢であることが現実です。

「この地域(清水区両河内)で生活していきたいと思ったから、『この地域でできる仕事』を考えた」。木こりの高齢化が進む中で、35歳未満の木こりは全体の5%。その一人である久米歩さんは大学進学を機に富山県から静岡県へやってきた当初、自分が木こりになるとは思ってもいなかったそうです。

きっかけは大学時代の先生との出会い。現在の久米さんの生活拠点であり会社所在地でもある両河内地区のさらに奥、そこで暮らす大学の先生のもとで書生時代を過ごしたときだそう。「蒔薪を割って火を起こしてお米を炊いて。生活に必要なエネルギーを身の回りの木材などでまかなう暮らしをしていました」。その頃から、自然の中での暮らしに魅了されていったようです。

久米さんは個人事業主の多い木こり界では珍しく株式会社を設立。設立当初は久米さん1人だった社員も今では4名に。株式会社ソマウッドとして、静岡県全域で間伐や搬出の請負・現地調査などを行っています。さらに、薪を地域のエネルギーとして活用してもらおうと「キコリ薪」の販売や、欧州製のバイオマスボイラーの導入にも注力。一味違う時代に沿った事業を展開されています。

理想だけでは食べてはいけない

富山から静岡へIターンの道を選んだ久米さん。「移住者を受け入れてくれるとゆったりした静岡の人柄のおかげで心地よく暮らしている」と、明るい口調の久米さんをみるとこれまで順風満帆であったように見えます。ですが、ここまで来るのには多くの苦労があったそうです。

第一次産業就業者は1953年にピークを迎えてから減少の一途を辿ります。サービス業を中心とする第三次産業に需要や若い人材が集まるなかで、林業の会社は多くが日給制。突発的な雨などにより急にその日の仕事ができなくなる時があるためですが、日給制では収入は安定しにくく若い人の就業も伸びません。

久米さんも最初の3年は全く上手くいかず、家族を養うために学習塾を開き、塾と木こりの二足のわらじ生活を送っていたそうです。「人生で様々な選択において失敗する経験は誰にでもある。でも人生に後退はなく、どんな選択も「右か、左か」の選択で必ず前進している」。苦境の時こそ思い出したい言葉を教えてくれました。

久米さんはソマウッドで働く社員が家族と安心して暮らしていけるように、木こりの収入面の不安を取り除こうと模索。ソマウッドの仕事は間伐など屋外の仕事のほか、薪の販売やバイオマスボイラーの導入相談など実に多様。悪天候の日もできる仕事を用意することで月給制を可能にし、現在は社員全員が社会保険に加入しています。長く働ける会社でありたい、という久米さんの強い思いゆえです。

少数精鋭の環境だから学べること

久米さんは県の情報誌やテレビなど様々なメディアに取り上げられる、いま注目の木こりの一人です。もともとは他府県出身、「山林」という個人の不動産を扱う木こりの仕事において「よそ者」であることは「不利」とも言える要素だったはずです。

「『こいつなら何かやってくれるんじゃないか』という期待を周囲に持ってもらえることが重要」。不利とも言える状況を一転させた力の原点は、久米さんが人とのつながりにおいて大事にしていたことにありました。ド派手な黄色い仕事服、安定した雇用創出、エネルギーの地産地消を目指す新しい取り組みは、まずは注目を集め、そこで生まれた期待に応えることから始まったのです。

「学生時代から人に出会う癖をつけて、何か頼まれたらとにかくやってみてほしい。例えば自分の名刺を作って、裏に自分の好きなことなんか書いてね。1回目は相手に覚えられなくても、2回目は覚えられると思う」、いろんな人や価値観の間をウロウロできることが大事という久米さん。

従業社員数の少ないソマウッドは1 人に任せられる仕事の責任が大きいため、年齢問わず一人一人の意見や得意分野が会社の特色になります。だからこそ久米さんは、学生時代から培われた経験値や人との出会いが、会社自体を大きくすることを実感されています。学生時代だから出会える人とできないことがある。久米さんの言葉に、将来の自分をより輝かせてくれるヒントをいただきました。

取材チームの感想
今まで知らなかった木こりについて知れば知るほど、日本の森林を守る木こりの存在の重要性に気づかされました。久米さんの型にはまらない生き方は、従来の就職の形とは異なりとても新鮮でこんな風な自分の見つけ方もあるんだなと視野が広がりました。人生に後退はない!常に前進!の気持ちで久米さんのように力強く自分らしく生きたいです。