大学生のシズカツさん~静岡就職活動研究サークル~


トップページ静岡おもしろシゴト図鑑興津螺旋株式会社

興津螺旋株式会社

代表取締役社長 柿澤宏一氏  製造部 佐野瑠美氏  製造部 森田知世氏

  • UP : 2017/02/02
  • 静岡県静岡市清水区

女子からはじめる工場の働き方改革 〜国内トップのねじづくりの現場から

清水区興津にある興津螺旋株式会社は1939年の創業以来「ねじ一筋」。一見すると町工場、しかしその中には一流の技術、仕事、環境、そして感性を楽しむ遊び心が詰まっていました。それに魅せられたのは男性だけではありません。興津螺旋には4年ほど前から製造現場で女性、通称「ねじガール」が働いています。働く女性比率はねじ工場で約5割!技術以外にも驚くべき数字を叩き出し、3Kと呼ばれた工場の働き方を変える興津螺旋。その糸口は女性にあり!さらにそれは男性にとっても働きやすい工場につながっていました!

ねじ業界を2度制した凄技メーカー!

一言に「ねじ」と言っても、素材や用途は実にさまざま。興津螺旋の主力商品である「ステンレスねじ」は錆に強く、磁石の影響を受けにくいもの。その ため、キッチンやバス・トイレ、太陽光発電などの水・雨の影響を受けやすいものや、コンピュータのハードディスクなど精密機器にも使われています。

実 は、興津螺旋は1950年代には「鉄木ねじ(もくねじ=木材を固定するねじ)」が主力商品で、当時も鉄木ねじで国内シェアNO1を誇りました。住宅様式が 木材建築から鉄筋建築に変わっていくにつれ、主力商品も鉄木ねじからステンレスねじに変化。今もトップシェアであり続けています。

歴史を振 り返れば「鉄木ねじ」「ステンレスねじ」と、これまでに2度もねじ業界で日本一に輝いた興津螺旋ですが、その日本一のねじ作りを支えるのが、働く現場を快 適にする最先端の設備と人です。特に近年、興津螺旋の看板になっている「ねじガール」は、ねじ業界では驚きの女性、しかも2016年現在は18歳から26 歳の若い女性10名が製造現場で働いています。

他社が真似できない金属加工技術

興津螺旋の強みは、ねじによく見られる十字穴(+)以外にも、花びら型や六角型など多種多様なねじがあります。金型の開発・設計において他社にはできない形状のねじを作ることです。

通 常、ねじはつぶしたり削ったりして作られることが多いのですが、チタン合金やニッケル合金などの硬い素材は削って作る会社が多いそうです。しかし、興津螺 旋はホットフォーマーという機械を導入し、金属に熱を加えながら加工します。それにより、削って加工するよりもコストや時間の短縮が可能になります。柿澤 宏一社長によると、「温間加工の機械を持っているのは航空宇宙産業向けの部品メーカーが主で、一般のねじ工場では珍しい」のだとか。他社にはできない技術 を追求したいと言います。

直接販売が少ないねじ業界で、興津螺旋は工場でありながらユーザーや同業者への直接販売にも対応しています。国内製造業が海外にシフトしていく中で国内の同業者と仕入れ販売のネットワークを作ることにより、互いに得意科目で取引ができるようにしているのです。

直販営業エリアは車で30分でいける範囲に限定、新工場には商品を自動で入出庫できる自動倉庫システムや包装工場も備わっているため、急ぎの案件やトラブル、小口での注文にも対応しやすくなっています。

ねじガールの誕生!

女性従業員が半数を占める興津螺旋ですが、4年前までは女性比率は全体の3割でした。女性でも働ける現場を作る必要性を感じていた所に転機が訪れたのは2012年。事務職で入社した女性社員から「ねじを作りたい」と要望があったそうです。

外国語学部を卒業した佐野瑠美さんは入社当初は事務職希望でしたが、研修を機にねじ作りに魅せられ、現在は製造現場で働いています。「自分の作ったものが色んな所で使われると思うと社会の役に立っていると思うし、ねじを通して自分の成長が分かるのが面白い」。

社 内では女性が製造現場に入ることで、筋力や体格の差を補うような設備や安全性への意識が高まりました。例えば軽い力でボルトを締めることのできる柄の長い レンチや、重いねじの箱を電気モーターの力で上げ下げできるバランサーなど。「女性を意識した現場づくりは男性にとっても働きやすい現場づくりにつなが る。ねじガールで工場勤務のイメージが変わったら嬉しい」と柿澤社長は言います。

さらに、女性が働きやすい現場の仕組みとして女性社員から も好評なのが1時間単位でも有休が取得できること。半日単位で有休が取得できる会社はよく聞きますが、興津螺旋は「1時間単位」。2014年に入社したね じガール・森田知世さんによると、「通勤前に病院に行きたい」などとても便利だそうです。

ステンレスねじの会社から総合ねじ企業へ

ねじといえばこの形、工場といえば男性というイメージを変えていく興津螺旋。それを可能にするのは値引きすることなく受注できる技術力・安全性に加えて、先見性や感性があります。

興津螺旋は、「半年に一度は値引きする」と言われる自動車部品業界において10年以上値引きすることなく受注している製品があるそうです。それは他社にはできない形状のものを作ることができ、安全性においても高い品質を保っているからこそ。

し かし、柿澤社長からは「今はステンレスねじがトップシェアですが、トップシェアを敢えて捨ててもいい」との言葉が。木造から鉄筋へと住宅構造が変化したよ うに、今では少子高齢化によって産業ロボットや工作機械などの分野に人や技術が必要とされています。「ステンレスねじに限らない総合ねじ企業になってい く」。そのために今後出てくる新素材や特殊形状に対応するための研究開発、設備投資を整えているそうです。

取材チームの感想
社内には社員が休みの日に使えるポルシェがあったり、休み時間に自由に食べられるソフトクリームの機械があるなど、感性を育てる工夫が社内の様々な場所にある。だからこそ社員さんの笑顔も輝くのかもしれない。軽い力で重いものを持ち上げられるバランサーを使ってみて私にも出来るんだ、やってみたいと思える職場環境でした。